
皆さんは「内科でよくある疾患」と聞いて、どのような病気を思い浮かべますか?糖尿病、高血圧、動悸など、日本人の多くが一度は経験するか、または気にかけている症状かもしれません。これらの疾患は初期段階では自覚症状が乏しいことが多く、気づいたときには進行していることもあります。そのため、予防や早期発見が非常に重要になってきます。
本記事では、内科医の立場から糖尿病予防に役立つ食事習慣や、動悸が起きたときの適切な対処法、そして高血圧を自宅で管理するための具体的な方法について解説します。これらの知識は、健康維持のための第一歩となるでしょう。日々の生活に取り入れられる実践的なアドバイスをご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 内科医が教える「糖尿病のリスクを減らす食事習慣」とは?
糖尿病は現代の生活習慣病の代表格として、多くの人がリスクを抱えています。日本人の約1,000万人が糖尿病あるいは予備群と推定されており、その数は年々増加傾向にあります。糖尿病は一度発症すると完治が難しく、合併症も深刻なため、予防が何よりも重要です。
糖尿病のリスクを減らすためには、食事習慣の見直しが最も効果的なアプローチの一つです。まず意識すべきは「食べる順番」です。野菜から食べ始め、次にタンパク質、最後に炭水化物という順序を守ることで、血糖値の急上昇を防ぐことができます。国立国際医療研究センターの研究では、この食べ方を実践した群は、通常の食事をした群と比較して食後血糖値が約20%低くなったというデータもあります。
また、低GI食品を意識的に選ぶことも重要です。GI値とは食品が血糖値を上げる速度を示す指標で、玄米、全粒粉パン、豆類、野菜などの低GI食品は血糖値をゆるやかに上昇させます。例えば白米を玄米に、白パンを全粒粉パンに置き換えるだけでも効果があります。
食物繊維も糖尿病予防に欠かせません。食物繊維は糖の吸収を穏やかにし、腸内環境も整えます。1日の目標摂取量は20〜25gですが、平均摂取量は約13gと不足しています。キノコ類、海藻、根菜類などを積極的に摂ることで、自然と食物繊維量を増やすことができます。
さらに、脂質の質にも注目すべきです。オメガ3脂肪酸を多く含む青魚や亜麻仁油、オリーブオイルなどの良質な油は、インスリン感受性を高める効果があります。反対に、加工食品に多く含まれるトランス脂肪酸や飽和脂肪酸の過剰摂取は避けるべきです。
適切な間食選びも大切です。血糖値の急上昇を招くお菓子やジュースの代わりに、ナッツ類やヨーグルト、少量の果物などを選びましょう。特にナッツ類には良質な脂質やタンパク質が含まれており、満腹感も得られます。
東京大学医学部附属病院の糖尿病・代謝内科では、バランスの良い食事として「一汁三菜」の和食を推奨しています。多様な食材を少しずつ摂ることで、自然と栄養バランスが整い、血糖コントロールにも役立ちます。
最後に、どんなに健康的な食事でも、過食は糖尿病リスクを高めます。腹八分目を意識し、ゆっくり食べることで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができます。
これらの食事習慣は特別なものではなく、日常生活の中で少しずつ取り入れることができます。糖尿病予防のための食習慣は、実は健康的な生活全般につながる基本的な考え方なのです。
2. 「動悸の原因」内科医が解説する見逃せない症状と対処法
突然感じる動悸は、多くの方が一度は経験したことがあるでしょう。心臓がドキドキと早く打ち、胸がざわつくような不快感に襲われると、不安になるものです。この動悸、実は様々な原因で引き起こされます。内科を受診する患者さんの主訴として非常に多い症状の一つです。
動悸の主な原因として、まず挙げられるのが「不整脈」です。心臓の電気的な活動が乱れることで、脈が乱れたり、早くなったりします。特に心房細動や発作性上室性頻拍などは、突然の激しい動悸を引き起こすことがあります。
次に考えられるのが「貧血」です。血液中の赤血球やヘモグロビンが減少すると、体は酸素不足を補うために心拍数を増やします。これが動悸として感じられるのです。貧血は女性に多く見られ、月経による鉄分の喪失が原因となることが少なくありません。
「甲状腺機能亢進症」も重要な原因の一つです。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、代謝が上がり、心拍数も増加します。バセドウ病がその代表例で、動悸だけでなく、体重減少や暑がりなどの症状も伴います。
精神的なストレスや不安も動悸を引き起こします。「パニック障害」や「不安障害」の方は、強い不安と共に激しい動悸を感じることがあります。こうした場合、心臓自体には問題がないケースが多いのですが、症状は非常に強く感じられます。
生活習慣も大きく関わっています。カフェインの過剰摂取、喫煙、アルコール、睡眠不足などは動悸の原因となります。特にコーヒーや栄養ドリンクの飲みすぎは要注意です。
では、動悸を感じたらどうすればよいのでしょうか。まず、深呼吸をして落ち着くことが大切です。次に、動悸の頻度や状況、随伴症状をメモしておくと診断の助けになります。
特に、以下のような場合は早めに内科を受診しましょう:
・動悸と共に胸痛や息切れがある
・めまいや失神を伴う
・これまでに経験したことのない激しい動悸
・動悸が長時間続く、または頻繁に繰り返す
診察では心電図検査が行われることが多く、場合によってはホルター心電図(24時間心電図)や心エコー検査などが必要になることもあります。
動悸の予防には、規則正しい生活習慣が効果的です。適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理などを心がけましょう。カフェインやアルコールの摂取量を控えめにし、禁煙することも重要です。
また、持病のある方は、処方された薬を指示通りに服用することが大切です。特に高血圧や心疾患の薬は、勝手に中断すると動悸の原因となる場合があります。
東京大学医学部附属病院や大阪市立大学医学部附属病院などの大学病院では、不整脈外来などの専門外来も設けられています。症状が気になる場合は、かかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医への紹介を受けることも検討しましょう。
動悸は体からのシグナルです。軽視せず、適切に対応することで、より健康な毎日を送ることができるでしょう。
3. 知らないと怖い「高血圧」自宅でできる効果的な予防策と管理方法
高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま進行する危険な疾患です。日本人の約3人に1人が高血圧と診断されており、放置すると脳卒中や心筋梗塞などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。では、自宅で実践できる高血圧の予防法と日常管理について詳しく見ていきましょう。
まず大切なのは、定期的な血圧測定です。家庭用血圧計を使って朝晩の決まった時間に測定し、記録することをおすすめします。理想的な血圧は120/80mmHg未満ですが、140/90mmHg以上が続く場合は医療機関への相談が必要です。オムロンやテルモなどの信頼性の高い血圧計を選ぶことで、より正確な測定が可能になります。
食生活の改善も効果的な予防策です。特に塩分制限は重要で、1日の摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。具体的には、醤油やソースをかける量を減らす、出汁の旨味を活用する、加工食品の摂取を控えるなどの工夫が有効です。さらに、カリウムを多く含むバナナやほうれん草、カルシウムが豊富な乳製品、食物繊維の多い玄米や豆類を積極的に摂ることも血圧管理に役立ちます。
運動習慣も血圧低下に大きく貢献します。ウォーキングや水泳などの有酸素運動を週に3〜5回、1回30分程度行うことが理想的です。激しい運動は逆効果になる場合もあるので、息が少し弾む程度の強度を心がけましょう。また、ストレッチや軽いヨガなども血圧の安定に効果があります。
睡眠の質も血圧に影響します。毎日7時間程度の十分な睡眠を確保し、就寝前のスマートフォン使用は控えましょう。また、ストレス管理も重要です。深呼吸や瞑想などのリラクゼーション法を取り入れることで、自律神経のバランスを整え、血圧の安定につながります。
禁煙・節酒も高血圧予防には欠かせません。喫煙は血管を収縮させて血圧を上昇させます。また、アルコールの過剰摂取も血圧上昇の原因となるため、男性は1日1〜2合、女性はその半分程度を目安にしましょう。
これらの生活習慣改善を継続することで、多くの場合、薬に頼らずとも血圧をコントロールすることが可能です。ただし、すでに高血圧と診断されている方は、自己判断で薬の服用を中止せず、医師の指導のもとで生活改善に取り組むことが大切です。
高血圧は予防と早期発見が鍵となる疾患です。自覚症状がなくても、定期的な健康診断と自宅での血圧測定を習慣化し、生活習慣の見直しに努めることで、将来的な健康リスクを大きく減らすことができます。