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寝屋川市の泌尿器科・内科 – Mai泌尿器科・内科クリニック

発熱外来での忘れられない症例たち

    発熱を伴う症状は、コロナやインフルエンザなどの一般的な感染症から、緊急性の高い重篤な疾患まで、様々な病気の兆候となり得ます。当院の発熱外来では、日々多くの患者さんが来院され、その中には一刻を争う状況も少なくありません。今回は、私が経験してきた忘れられない症例をもとに、「コロナとインフルエンザの見分け方」「命にかかわる可能性がある初期症状」「適切な受診タイミング」について解説します。発熱時の判断に迷ったとき、この記事があなたやご家族の健康を守るお役に立てれば幸いです。地域の皆様の健康を支える医療機関として、適切な医療情報の提供を心がけております。発熱でお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

    1. 発熱外来でよく見る「コロナとインフルエンザの違い」とその判別方法

    発熱外来で最も頻繁に直面する課題が、コロナウイルス感染症とインフルエンザの鑑別診断です。両者は症状が酷似しているため、患者さん自身による判断は困難を極めます。

    発熱の出方に関しては、インフルエンザは急激に38℃以上の高熱が出ることが特徴的です。多くの患者さんが「急に体が動かなくなった」と表現します。一方、コロナウイルス感染症は比較的緩やかに熱が上昇し、長引くケースが目立ちます。

    症状の面では、インフルエンザは全身の強い倦怠感や関節痛、筋肉痛が顕著です。対してコロナウイルス感染症では、味覚・嗅覚障害や息苦しさといった特徴的な症状が現れることがあります。ただし、オミクロン株などの変異株では症状パターンが変化していることも忘れてはなりません。

    潜伏期間にも違いがあり、インフルエンザは1〜2日と短いのに対し、コロナウイルスは2〜14日とより長期間です。これが感染拡大の一因となっています。

    確定診断には検査が不可欠です。抗原検査やPCR検査などを組み合わせることで、より精度の高い診断が可能になります。当院では同時検査キットも導入しており、一度の検体採取で両方のウイルスを検出できるようになっています。

    治療法も異なります。インフルエンザには抗ウイルス薬が確立されており、発症から48時間以内の投与で効果を発揮します。一方、コロナウイルス感染症は重症度や基礎疾患によって治療方針が変わるため、個別の対応が必要です。

    判別が難しいケースとして、ある30代男性の例が印象的でした。典型的なインフルエンザ症状で来院されましたが、検査ではコロナ陽性。その3日後、症状悪化で再診された際にインフルエンザも陽性となった同時感染例でした。このように、症状だけでの判断は専門家でも困難なことがあります。

    発熱や倦怠感を感じたら、自己判断せず医療機関を受診することをお勧めします。早期診断が重症化予防につながります。

    2. 医師が語る「発熱外来で命を救った緊急症例」5つの初期症状

    発熱外来は単なる風邪やインフルエンザだけを診る場ではありません。時に深刻な疾患の第一の症状が「発熱」として現れることがあります。救急医療の最前線で働く医師として、発熱外来で早期発見できたからこそ救命できた緊急症例とその初期症状をお伝えします。

    1つ目は「細菌性髄膜炎」です。38度以上の高熱に加え、強い頭痛や首の硬さ(項部硬直)を訴えた30代男性。通常の解熱剤が効かず、徐々に意識レベルが低下していました。髄液検査で確定診断し、即座に抗生物質治療を開始。24時間が勝負の疾患で、早期対応が後遺症なき回復につながりました。

    2つ目は「敗血症」の症例です。40度近い高熱と全身の倦怠感で来院した70代女性。尿路感染症が原因でしたが、血圧低下と頻脈、呼吸数増加というバイタルサインの変化に着目。血液検査でショック状態に移行しつつあることを確認し、直ちに大学病院へ転送しました。初期症状は「単なる熱」に見えても、バイタルの変化が命を救う鍵となりました。

    3つ目は「急性心筋炎」です。インフルエンザ様症状と思われた10代の男子学生。しかし胸部不快感の訴えと心電図異常から心筋炎を疑い、心エコー検査を実施。心機能低下が確認され、集中治療室での管理となりました。ウイルス感染後の発熱に伴う胸部症状は見逃せない赤信号です。

    4つ目は「深部静脈血栓症からの肺塞栓症」。長時間のフライト後に発熱と息切れで来院した50代男性。片側下肢の腫脹と発赤を認め、D-ダイマー高値から肺塞栓症を疑い、CTで確定診断。抗凝固療法を直ちに開始し、ICU管理となりました。発熱と呼吸器症状の組み合わせが命を救う手がかりでした。

    5つ目は「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」です。発熱と腕の発赤で来院した40代女性。数時間で急速に悪化する皮膚の変化と強い痛みが特徴的でした。これは「人食いバクテリア」とも呼ばれる致死率の高い感染症です。外科的デブリードマンと抗生物質の大量投与で一命を取り留めました。発熱に伴う強い局所痛と急速な皮膚変化は緊急事態のサインです。

    これらの症例に共通するのは、「ただの熱」と見過ごされがちな初期症状の背後に潜む深刻な病態です。発熱に加え、強い頭痛・意識変化・局所の激痛・呼吸困難・バイタルサイン異常のいずれかがある場合は、躊躇なく医療機関を受診してください。東京都医師会の調査でも、発熱外来での重症疾患の早期発見例は増加傾向にあります。

    日本救急医学会も「発熱プラスワン」の症状がある場合は注意が必要と警鐘を鳴らしています。単なる発熱と思われる症状でも、医師の経験と洞察が命を救う鍵となることを、これらの症例は物語っています。

    3. 知っておくべき発熱外来の受診タイミング – 待つべき?すぐ行くべき?

    発熱は体が感染と闘っている重要なサインですが、いつ医療機関を受診すべきか判断に迷う方は多いでしょう。基本的に、成人の場合は38.5度以上の発熱が2日以上続く場合、小児では38度以上で機嫌が著しく悪い、水分摂取ができないなどの症状がある場合は早めの受診をお勧めします。

    特に注意すべき「すぐに受診」のサインとしては、呼吸困難、胸痛、強い頭痛、意識障害、けいれん、皮膚の異常な発疹、尿量減少などが挙げられます。これらの症状が発熱に伴う場合は、重篤な感染症の可能性があり、緊急性が高いと考えるべきです。

    一方で、軽度の発熱(37.5度程度)で全身状態が良好、水分摂取ができている場合は、まず自宅で様子を見ることも選択肢となります。ただし、基礎疾患がある方、高齢者、乳幼児の場合は、軽度の発熱でも早めの受診を検討してください。

    また、季節性インフルエンザが流行している時期は、発症から48時間以内に抗ウイルス薬の投与が効果的であるため、高熱と全身症状がある場合は早めの受診が推奨されます。

    発熱外来では、事前に電話連絡をして受診方法を確認することで、院内感染のリスクを減らし、スムーズな診療につながります。東京都や大阪府などの大都市では「発熱患者診療可能医療機関検索システム」などのオンラインツールも整備されているので活用するとよいでしょう。

    適切な受診タイミングの判断は自己防衛だけでなく、医療機関の負担軽減にもつながる重要な判断です。不安な場合は、各地域の医療相談窓口に電話相談するという選択肢もあります。